今回の取材は、市販のユニットを工夫してガレージに採用しているという玉田様のところへお邪魔するとの事。
オーナーは建築業を営む傍らでクルマを趣味としているそうなので、今回の取材も楽しいものになるであろうという期待を胸に、担当者のクルマの助手席で思いを馳せていた。
「着きました。ここです。」
うん?
ただの野立ての物置兼車庫じゃないか。
これなら筆者の家の近所にもよく見かける。たいてい自転車と使わない家財道具とファミリー向けワンボックスが入っている。農機具を保管している家もある。
ただ、車庫の前に置いてあるRAMバン。このやさぐれ具合は好きな人じゃないと出せない味なのだ。
でも、車庫なのになぜこのバンが入っていないのか?ハイルーフに対応しているタイプのガレージだから、このサイズのクルマだってらくらく保管できるはずだ。
それはそうと、ガレージの周りはなかなか厳重なセキュリティが施されているようだ。
パっと見ただけでもセンサー類やカメラ、ライトやストロボまで揃っている。
オーナーの玉田さんを待っている間、うかつにも編集者がこのRAMバンに近づいてしまい、けたたましい警報音を鳴らしてしまった。
所有者の話を聞くまでもなく、これらが一切ダミーではないことが証明されてしまったわけだ。
「発報と同時に画像が携帯へ送られてくるから、誰が来たかスグにわかりましたよ(笑)」
と、すぐにオーナーの玉田氏が現れた。
さっそく中を見せて頂くのだが、シャッターを開けると最初に目に飛び込んできたのが排気用ダクト。
ガレージ内の換気に気を遣うオーナーさんは多いのだが、クルマに合わせてシャッター下部から排気できるように作られたものだそうだ。
しかし・・・イナバの物置から、こんなマシンが出てくるか?
排気量は外に置いてあるRAMバンのほうが上だが、1トンのボディに480馬力以上のモンスターマシン。F40は誰にでも操れるものではない。そのLM仕様のボディワークも素晴らしいのひと言に尽きるのだが、筆者はAPレーシング社製のキャリパーなどきちんと走るための装備までしてある「飾りじゃないフェラーリ」として所有されていることに大いに喜びを感じた。
「でもねえ、最近はコイツにハマっちゃって。」
確かに、ガレージ内にはF40用ではないと思われるSタイヤが置いてあった。もしかしてコレで走るのですか?
「そう、マジで面白いし、速い人もたくさんいるよ。このクルマもけっこう手をかけています。」
これには非常に興味をそそられた。パイプフレームのレーシングカーにほど近いF40とは対極のバンでサーキットを走るのが楽しいというのだから、やはり男はエンジンがついている乗り物ならなんでも楽しめてしまうということか。
そんなに手をかけてあるクルマなら、なおさらガレージに・・・。
そういうことですか。
陸上だけじゃなくて、水上もですね。
こっそり隅に置いてあるロッドも見落とさない。
「ああ、コレでポイントに近づいてイカを釣るんです。機動力があるし静かに近づくこともできるし、いいですよ。」
いろんな方に取材をしていて思うのだが、自分にできない発想の方々との会話は、本当に面白い。
2つのシャッターを開けただけで、野立ての物置兼車庫だという第一印象は、どこかに消えてしまっていた。
遊びを極めようとするオトコには充分な魅力が、この中には詰まっている。
しかし、それだけではないのが3枚目のシャッターの部分だ。
なんと、ワンルームマンションというか、スタジオというか、居住スペース。
車庫に住むという発想はわかるのだが、イナバのガレージに内装をここまでやりますか?
「実はコストを考えると、この方法は非常に安上がりなのです。例えば、私たちの子供の世代に大げさなガレージを遺したとして、もしかしたらありがたくないかもしれない。クルマ離れなんていうのはおそらく止まらないでしょうからね。この方法なら基礎工事を大げさにしなくても済むし、撤去もラクです。趣味で楽しむだけなら、これ以上のものはいらないでしょう。実際に住んではいませんが、ここで泊まって早朝から出かけるということはありますよ。あとは自分だけのゆったりと過ごせる空間として使っています。」
バス、トイレ、ミニキッチンも装備できてこれだけの空間を作れるとは、クルマ1台分のスペースというのは意外に広く使えるものだ。私が独身であれば、ここに住むというのも悪くないと思えるほどだ。
玉田氏が代表を務める玉田建設株式会社では、このガレージで得たノウハウを基に顧客のライフスタイルに沿った形で提案を行なうことが可能であるということだ。
コスト、施工期間ともにオーナー自らがベストと選択したこのガレージ、興味を持たれた方は一度問い合わせてみてはいかがだろうか。
<お問合せ> 玉田建設株式会社
tel: 058-243-1014
mail: tamada-pinky321@tamada-k.co.jp
お問合せ時に『イナバのガレージハウス記事を見て』とお伝えください。
取材・文/佐々木
編集 /GaragingLife石川